London -チャーミングな人-

 外の空気は冷たくて、肩の筋肉が自然とキュッと固まる。頬と耳に当たる冬の冷気が、寝起きのぼんやりとした頭と眠気から目覚めさせてくれる。

iPhoneの画面を開くと時刻は朝の5時30分。
夜行バスで5時間かけてロンドンまでやってきた。7時30分に現地到着予定のはずが、道が空いていたのかかなり早く着いてしまたらしい。

まだ外は真っ暗で、静かだった。
6時の開店に合わせて、寒さをしのぐようにして近くのカフェに入った。

フランス・イギリス間は、カレー海峡にある海底トンネルのおかげでバスや電車で簡単に移動できる。北フランスからロンドンまでの片道は、時期さえ選べば20ユーロくらい。今回はホリデーシーズンだったため、片道39ユーロ、それでも安い。

 当たり前だけど、聞こえてくるのは英語。
フランス語とは違って、ちゃんと理解できる。知らない人とたわいもない会話ができる。気持ちいい。私は大の英語好きで、この言語の響を聞いているだけでとろけそうになる。ロンドンではとにかく耳が幸せだった。

ブリティッシュアクセントは思った以上に強くて、たまに何て言っているのか正確に聞き取れなかったけど、なんだか可愛らしくも思えた。ちなみに英語では「アクセントが強い(strong)」だけではなく「厚い(thick)」とも表現する。こういう表現の違いが面白くて好き。あと、イギリスでは"Thank you"の意味で"Cheers!"って言う。可愛い。


そんなクセのある訛りを付けてお喋りするイギリス人は、とってもチャーミング。

Googleと睨めっこしながらバス停の前で行き先を確認していると、「どこに行きたいの?」と立ち止まって助けようとしてくれた優しい人が何人もいた。

美術館で、ウェーブがかかった髪を褒められたのも嬉しかった。

印象的だったのは、お年寄りの荷物や腕を掴んで階段を一緒に登っている男性と男の子。なんて紳士なんだ!

朝、駅に向かって歩いていると
"What a beautiful morning(いい日だね〜!)"とすれ違い際に歌い出す男性もいた。

バーで飲み交わす人々もアンダーグラウンドで電車を待つ人々も、陽気で落ち着いている。

地下鉄の中で、目が合うとにっこりと微笑んでくれる人達の瞳は暖かかった。


 フランスとは一味異なるファッションも心をときめかせてくれた。

特に着飾っていないシンプルなコーディネート。だけどどこか洗練されていて、地下鉄のホームを颯爽と歩く女性や、公園の並木道ですれ違うマダムを見るのを楽しんだ。

ファッションといえば、私はキャサリン妃のテイストが特に好き。
私のワードローブは、LAカジュアルと清楚ナチュラルがほとんど。今年のテーマは、「色で遊ぶ」だからカラフルなアイテムがかなり増えた。まだまだ大学生らしいデイリーカジュアルな感じだし、キャサリン妃がファッションアイコンだなんてとても言えないけれど、実はかなり魅了されてる。彼女のスタイルはシンプルでどこかカジュアルなんだけど、同時にとても上品でロイヤルな着こなし。社会人になるにむけて、自分のワードローブも上品シンプルな感じに移行していきたいと密かに思う。私の企み。


 ロンドンの気温は7度前後と、かなり冷えていた。色が綺麗でエッジの効いたコートをお召しの女性を見かけては、目で追いかけた。
スーツの上にPコートを羽織って、黒いハットを被っているジェントルメンもちらほら。クラシカルで素敵。

チャーミングで洗練された人たちが行き交う街、ロンドン。

日が昇り、人々と街が目覚めるとともに見えてきたロンドンの魅力に一瞬にして心奪われた。甘い恋のような旅の始まり。

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