愛おしい過去

ロンドンシリーズを一通り書き終えるまでは、日常的な内容のブログは貯めておこうと思ってたけど、どうしても言葉にしたい気持ちが生まれたから、素直に書きだすことに。


フランスに来て3ヶ月が経とうとしていて、折り返し地点どころかもう帰る心の準備をしている今日この頃。久しぶりに唖然としたことがあった。


昨日は日曜日だったため目覚ましをかけておらず、いつもより少し遅く目が覚めた。

雨音に気づいて余計にベッドから出たくなくなり、しばらくそのままごろごろした後に、いざ行動しようと部屋の電気に手を伸ばした。


だけど、電気がパチっと音を立て一瞬光るとすぐに消えた。電球が切れてしまったらしい。


日曜日だったため寮のフロントも閉まっていたし、「明日まで待って、スタッフさんに電球を交換してもらうか。」と、あまり心配せずに、なるべく日中に作業を済ませて、テーブルランプだけで一晩を過ごした。


そして今日、朝の授業とミーティングを1つ終えてお昼すぎに寮に帰宅し、先ずフロントに「電球の交換をお願いします」とメールした。というのも管理人さんはフランス語しか話せないので、前もってメールで文章を送っておく方が事がスムーズに進む。その後ゆっくりとお昼ご飯を済ませながら待っていたけど、全然来ない。


夕方に少し外出する予定が入っていたから、すれ違ってタイミングを逃すのが嫌で、直接フロントに行くことに。エレベーターで偶然一緒になった男性がフランス語が話せる方だったので、通訳をお願いすることに。ラッキー。


「、、、自分で交換してだって」


え?


「自分で?登って?電気を買って?」


「そうみたい、スーパーで買えるって」



開いた口が塞がらなかった。


というのも私はフランスという慣れない環境で、故障や設備交換などもろもろの作業を自力でできる自信がなくて、わざわざこの学生寮を選んだ。通常のアパートの家賃より倍近くの値段を払っている。東京みたいにアパートに住んでたら文句は言えないけれど、管理費にこういうサービスも含まれていると思ってた。比較的家賃が安い学生のシェアハウスではなく学生寮を選んだのは、フロントに管理人さんがいて、何か起これば管理人さんが手伝ってくれると思ったから。


なのに、この管理人さん、いままで何もしてくれたことがない。

毎日フロントに座っていて、いつ見ても誰かと電話してる。

そもそもコインランドリー用のコインを購入したり、家賃を振り込むときにしか会わない。

私が入寮した頃に短期で働いていたスタッフさんも「ここの管理人は、高い家賃とってるにもかかわらずコスト削減しか考えてないし、何もしないんだよね。同じ系列の学生寮グループ内でも問題視されてたんだよ。もう少しいいサービスができると思うんだけど、聞く耳をもてくれなくてさ。」って言ってた。


ていうか私の身長じゃ、椅子に上っても天井に手が届かないんですけど。


「ドライバー(ねじ回し)は誰かが借りたまま戻ってきてないから、それも自分で買ってね。脚立? あー、椅子かベッドに登ってよ。」


数秒間唖然とその場に立ち尽くした。

平然を装って、ひとまず通訳をしてくれた男性にお礼を言って部屋に戻ったけど、めん食らった。その直前、ランチにパスタを食べていたので、2つの意味でめん食らったわけだ。


ていうか、電球の種類くらい教えてよね!!!

でもぐちぐち言ってられない。とりあえず昔のスタッフさんに相談のメールをして、閉館前の郵便局へ用事を済ませに行った。そしてその足で、スーパーにドライバーを買いに行った。すぐに買い物ができるダウンタウンに住んでてよかったと心の底から思った。

元スタッフさんによると、入居から1ヶ月経つと、電球などの設備交換は自分でしなくてはいけないとのこと。でも彼だったらきっと脚立をもって電球を外しに来てくれたはず、、、。そんな泣き言を言っても状況は変化しないので、ひとまずドライバーをゲット。帰宅して、隣の部屋のモロッコ人紳士 マロウナにメールで事情を説明して、帰宅後に部屋に電球を外しに来て欲しいとお願いした。


 ちょうど数日前に、伺いたいことがあってファッションエディターの白澤貴子さんのインスタグラムにメッセージを送ると、嬉しいことにすぐにお返事を下さった。その時に私のプロフェールを見てくださったようで、励ましの言葉を下さった。


「フランスに留学されているんですね。私がいた時代も理不尽なことが多かったので今も多少はそうだとは思いますが頑張って下さい!」


そのお言葉を頂いてすぐは、


「あ〜、最初は本当に大変だったな〜。だんだん少しずつ慣れてきてそろそろ免疫もつき始めたかな。」なんて思ってた。留学序盤は、フランスを好きになれるか心配だったし、ブログにも不安な気持ちを書き残した。特に The Climb と  原点回帰 はフランス留学での苦労や困難を赤裸々に綴った。


そしたら久しぶりにこれだ。免疫なんてついてなかった。

電球くらい頑張れば自分で買いに行けるし、手伝ってくれる友達もいる。不可能ではない。

だけど、安くはない管理費の中に含まれていると信じて疑わなかったサービスをしてもらえなかった、手伝おうとしてくれなかったことに落胆したし、悲しかった。


郵便局で書き留めの郵便物を送るために列に並んでいる時、ふとインスタグラムを開くと、歌手のBabyKiyちゃんの投稿が目に入った。


私と同じで、Kiyちゃんにとっても今日はいい事ばかりじゃない1日だったのかな?


そういえば去年のクリスマス前に、プレゼンの準備、イベントスピーチの原稿作り、バイトなど複数の事を同時進行して、しかもホルモンバランスが大きく乱れてしまい、自分の限界に直面した期間があった。スピーチ前日だったなぁ、去年1のキャパオーバー。夜中に「どうしてこんな事もできないの?」と悔しくなって涙が留めなく溢れ出て、マイガールに電話した。そして泣きながらブログに「歯を食いしばって、悔しくて涙が止まらない夜も、いつかは愛おしくてたまらない過去となり、自分の1部となる。」と書いた。(探してみたらすでに消去してたけど。)


こうやって、自分にとって不利が多い環境にこれから住む事があるかなんてわからない。

もしかしたら、与えられた環境の良し悪しや、世の全ての便利化によって、知らない事や苦労する事の方が少ない挑戦のない平凡な生活を送り続けるかもしれない。いつかは、こうやって言語の壁にぶち当たって手持ち無沙汰になったり、ひとつひとつ自分で調べて試行錯誤を重ねたりるす必要がなくなるかもしれない。そしていつか、この涙や努力を振り返っては愛でる日が来るはず。事実、人一倍苦労が多かったアメリカ留学は私の人生にパラダイムシフトを起こした、愛おしくてたまらない過去となり、いつも心の真ん中に添えてある。


5ヶ月の滞在期間に、銀行口座を開設し、フランス電力との契約をし、アマゾンのコールセンターに何度も問い合わせ、スーパーでレジの打ち間違えを指摘して払い戻しを要求し、電球を変えようと部屋とスーパーを行き来して、郵便局に月2回行ったり、フランス語しか話せない寮の管理人に拙いフランス語単語をぶつけまくる経験、そう誰でもできるもんじゃない!笑

きっと将来の自分にとって大切な財産になるはず。


留学って、自分の限界を目の当たりにする。全身全霊で臨んでいるから。

だけど、一歩踏み出せば、その分世界も自分の可能性も広がる。

挑戦だらけで、乗り越えた山や辿った道を振り返るとわくわくする。


理不尽な事が多い。

楽しいことばかりじゃない。

自分と向き合って悩むことも多くなる。


だけど、未来の自分のために、今しかないこのかけがえのない時間を精一杯に生きようと、心にスイッチが入り直した。


さっきモロッコ人が部屋に来てくれたものの、結局ドライバーの形が合わなかったから明日またスーパーに行く事になり、まだしばらくは電気のスイッチは入りませんが!!


よくがんばったね。と自分を褒めて、

私もKiyちゃんみたいにあったかいレモネードを飲んで早く寝よう。ちゃんとフランス語の勉強もして。


テーブルランプの灯りだけの空間も、ホテルみたいでたまには悪くない。

リラックスにちょうどいいじゃないの。友達がお土産でくれたベルギーチョコ食べちゃおっと。



余談。 あまりお腹が空いてなかったので、夜はバゲットを少し。友達に勧められて買ったフィグと胡桃が練り込んであるチーズを乗せて。


Cup of Grace

1杯の紅茶と溢れるほどの恵

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